方違え

 衝動的に引っ越すことにした。

 どのくらい衝動的かというと、11月から新居に入居するくらいだ。先週末に不動産屋に電話して、その日の晩には契約をした。
 私の即断に、担当者もちょっと引き気味だった。がっついた客でゴメンよ。進学でも就職でも引越しでもなんでもそうだが、大きなことは割とあっさり決めちゃうんだよ私は。

 そもそも、物件の少ないこの土地ではあまり選択肢が無い。
 「駅から10分以内で二階以上の角部屋で2LDK以上で家賃は現在の+2万円以内」という条件を全て兼ね備えた奇跡の物件!逃したらこの街に住む限り後悔し続ける。
 その他、いくつかの偶然が重なって敷金礼金等びっくりするほど安くなり、当初の予算の半額で引越しが出来ることに。やはり、世の中は私に都合よく回っているのではないだろうかと、疑わずにはいられない。

 恋人が一軒家に住んでいるのを見て、自分のワンルームに耐えられなくなったのだ。この部屋もそろそろ5年になるが、食事も休息も料理も全て同じ空間でするというのは、やはり落ち着かない。
 一人暮らしには少々贅沢かもしれないが、物価の安い土地のこと、2LDKを選んだ。憧れの畳の部屋もある。東南に大きく開けた、リビングの窓も魅力だ。日当たりもいいので、色の少ない明るい部屋にしよう。

 寒くなるにしたがって自分も周囲もネガティブになりがちだったりするが、新しい生活の計画をあれこれ立てていると気が紛れる。引越しが趣味の人の気持ちが、ちょっとわかるな。これは、ある種のカタルシスだ。


 思いのほか大掛かりな冬支度になるが、これからの新しい季節がそれぞれに楽しみだ。