花咲ける午後
今年のGWは、5/2の出勤日を挟んで前半後半をそれぞれ楽しんだ。
前半は、恋人と奈良の古寺巡り。お決まりのコースではあるが、季節により時刻により、まったく違う様相が見られる。何度行っても良い。
人気の絶えた、夕刻の室生寺や多武峰。斜陽に眩む、新緑と花盛りの伽藍。
遠い勤行。蛙の声。
鐘の音と風の音。
まるで、浄土だ。
私は何度もそれを目にしている。
後半は実家に帰省し、両親と信州蓼科に一泊。
北陸から信州経由で関東に抜ける道は、父と母の実家をそれぞれ訪れるのによく通ってきたが、一日で行ける行程なので今まで途中泊をしたことがなかった。ゆっくり信州を見るのも、幼い頃以来だ。
高原は一斉に春を迎えたばかりで、桜も林檎も桃も藤も、花という花が総て咲く。その、無節操なまでの彩りに圧倒される。
まるで、楽園だ。
一週間あまり、美しい静けさを楽しんだ。
大阪のオフィス街の真ん中にいるときにも、遠い場所ではあの静謐が確かに存在している。時々それを想い憧れ、しばらくは暮らしていこう。