地上に別れを
ここ数日の気温の変化に身体がついていかず、久しぶりにアレルギーが出て発熱した。喘息の兆候だ。
ぐるっと今日のスケジュールに頭を巡らすも、研修と会議と懇親会。
休んでやることにした。
駅からマイクロバスに乗って、市民病院に。
去年郊外に移転したため不便になったかと思ったが、こうやって無料送迎バスが往復してくれるので思ったほどの難儀は感じない。むしろ、景色を眺めながらゆっくりと田園地帯を走って、ちょっとした遠足気分だ。
新しい病院は森の中にあり、色とりどりの花が咲き、地元の産業である材木をふんだんに使った窓の多い明るい建物だ。表示も分かりやすく、多くのスタッフがどこに行っても親切に案内してくれる。
診察と会計を済ませて最上階にいくと、ガラス張りの明るいカフェがあって眼下に広がる森と棚田を一望できる。送迎バスの時間まで、遅い朝食をとりながら過ごした。
なんというか、のんびりした街だなぁと思う。
病院の待合室でも、送迎バスでも、薬局でも、みんな穏やかで人懐こい。
いい街だと思う。
本当なら今頃、大阪のど真ん中の、デザイナーズのガラスと白い鉄筋で出来たビルで、刻々と移り変わるディスプレイを眺めながらキーボードを叩いているのに。
ほんの電車で一時間ほどの場所で、ずいぶん世界が変わるものだ。
ここで、もっと長い時間を過ごすことができたらいいのに。
ともあれ、初めて行った市民病院はたいそう快適だったのだ。せっかく住民税を払っているんだし、もっと活用することにしよう。
そして、医師に言われたとおり、熱もあることだし薬を飲んで大人しくしていよう。