地上に別れを


 空梅雨かと思っていたら、突然の土砂降り。
 ここ数年、気候のバランスは目に見えて崩れてきている。

 それでも、いろいろな災害や変化を乗り越えて、人類は生き延びていくんだろうな。こんなに生存圏の広い生物は、他にいない。
 総体としては、この上なく強い存在だ。




 今日は、本当はスターウォーズの先行上映を観に行こうと思っていたが、父が出張で大阪に来るというので遊んであげることにした。


 私も行った事がないのでUSJにでも行くつもりだったのだが、生憎の大雨。仕方なく、大阪らしく大阪城に行ってみた。


 大阪城といえば豊臣秀吉。しかし、実際に大阪城がドラマチックだったのは秀吉没後だ。豊臣政権が崩壊する、夏の陣と冬の陣。

 天守閣の中は資料館になっていて、映像や展示物で当時の様子を再現したり説明したり、結構楽しめる。
 布陣図から想像される、大規模な合戦。絵巻も、部分ごとに拡大して説明してくれるので、武将が戦う一方で逃げ惑う女たちやそれを追う野党など、同時進行されていたディテールまで良くわかる。今まで自分の中にあった小説や資料の世界が、立体的な映像を得る感じだ。

 スターウォーズは観なかったけれど、まぁ、OsakaWarsとでも言えるか。そういうものを楽しんだ。


 ただ、例えば取り上げられる個々の武将のエピソードなどを見るにつけ、歴史は善悪じゃないなぁと思う。実際にそこで生きて死んだ人間一人の生き様は、善とか悪とか簡単には片付かない。

 むしろ、人が善悪で判じられるのは、生きている間だけなのかもしれない。しかも、それは継続する価値ではない。つまり、善悪は一人の人間に属するのではなく、その時その時の行いであるとか思いであるとか、そういう現れたものに属するのだ。

 死んでしまった人間が生きている間に為した様々なことは、善も悪も複雑に絡み合っていて、それを一括してどちらかに決められる人なんて、神様か閻魔様くらいだろう。


 死を覚悟して戦に臨む武将たちの、出陣の出で立ちの美しさを思う。
 討たれた首が見苦しい有様にならないよう、髪には伽羅の香を焚き染め、歯は鉄漿で黒く染めての出陣だったのだとか。



 人は強くて弱くて、優しくて汚くて。
 そうやって生きて、死んでいくのだ。