水の拒絶


 週末から、スポーツクラブに通っている。
 スタッフの人たちはみなスポーツマンシップに則りテンション高めで、少々引き気味ではあるもののそれでも精一杯ヘラヘラ返事をしてみたりする。慣れない相手には愛想がいいのだ私は。


 これまで運動らしい運動はしたことがないが、自分で言うのもなんだがワリと身体能力は高めで、大抵のスポーツは器用にこなす。水泳やマラソンは、得意なほうだ。


 …ったはずなのだ。これまでは。


 久しぶりに、泳いだりランニングマシンで走ったりしてみると、スタミナの無さに愕然とする。泳いでも、今までのような身体が水に馴染む感覚が得られない。身体全体の筋肉が、満遍なく落ちて私になんの断りもなく脂肪に代わっていたようだ。道理で身体が重いはずだよ。
 このところの体調の悪さで油断していたが、ダルイのは喘息とかアレルギーとかのせいだけではなかったのだ。


 困ったことに、これまでずっとスポーツ得意めで生きてきたため、訓練して習得することに耐えるノウハウが私には欠如している。そもそも私は努力の出来ない人間で、努力しないとできないことはできない。


 盆休みに信州で登山なんかをしようと思っているのだが、このままでは八ヶ岳なんてとてもじゃないけど登れない。


 背に腹は変えられない。
 二週間、真面目に通い続けてみよう。