フロスティ

午前休みを取って、いつもより四時間ほど遅い時間に家を出る。
生憎の雲り空。しかも、小雪がちらついている。
思い立って、自転車はやめて歩いて駅に向かうことにした。


地区のあちこちに五色の幟がはためいて、小さなお堂の前には人が集まっている。
そう言えば今日は二十四日。お地蔵さんの日だ。
こんなところに祀られていたなんて、気づかなかったけれど。


平日の昼前で、子供たちなどもちろんおらず、地域のお年寄りがほとんどだったが、こんな小さな地蔵尊を敬い集まる人々の向こう側に、繰り返されてきた営みの歴史とも言うべき長い時の流れを感じた。


お堂の前に立ち、里を見守り続けた菩薩に短い賛を。古い石仏は星霜を経た滑らかな尊顔で、ただ黙していた。


自転車に乗っていたら、通り過ぎていたな。