滄海に馳せる


 知らないうちに自分の職分が変更されていてびっくりした。

 そういえば年明けに役員から電話でそんな話しをされていたが、冗談かと思って軽く受け流して笑っていた。わー本気だったんだー。
 やってることは変わらないので割とどうでもいいが、組織図上私の立ち位置が微妙に宙ぶらりんに。合同庁舎と言うか、むしろ飛び地みたいなもんだ。

 しかし、一人仕事が最近増えすぎて、この一週間はちょっと孤独だった。集中しだすと周りの音が聞こえなくなるクセがあるので、午後のほとんどを誰とも口を利かず過ごしたり、コミュニケーションはメッセンジャーのみと言う体たらく。まぁ、自業自得だ。
 来週はもっとちゃんとみんなと会話をしよう!と心に誓った、そんな金曜日。


 それでも、広報活動(?)の一環として、ある社員にインタビューする仕事が合って、今日は小一時間ほどマンツーマンで話をした。

 二月に一度ほど降ってかかる仕事で、面倒ではあるが、普段こんなふうに顔をつき合わせる機会の無い相手とじっくり話をするのは、なかなか興味深い。いろんな人がいるな、と肯定的に思う。
 コンサルタントと言う仕事をしている彼は、前提として人が好きだ。それは、謙虚に物事を受け入れる姿勢や、他者のために心を砕く誠実さに見て取れる。そして、そのことが彼自身の内面を豊かにする。対して私は、外界を拒んで生きていけるほど自分の世界は豊かではないはずだ、と思う。
 持たない者は、乞うべきだ素直に。それによって人は満たされ、今度は他者へと与える循環が生まれる。



 それにしても、このところ働きすぎだ。
 この週末は恋人と街を散歩しまくって、日常を回復しよう。
 ゆっくり丁寧にご飯を作って、夏の予感を含む夜風の中で眠るのだ。