末期の夢を水で薄めた
風邪と言うか咽頭炎高熱を出し、その後気管支炎を併発し、月曜から二日も会社を休んでいる。つまり、土日を合わせて四連休だ。
先月も同じ症状でダウンしたばかりだ。もともと呼吸器系は弱かったが、このところ本当に弱い。GWくらいまでは体調が安定しないのが常だが、年々悪くなっている気がする。
若くないと言うことか。
年明けからこちら、どうあっても忙しい時期である。食事も疎かになりがちだし、生活も不規則で睡眠時間も短い。
しかし、それはみな同じこと。なぜ私ばかりこうなってしまうのか。
それが、私の根源的な弱さだ。
不意に光から背いてしまう類の。
久しぶりに平日の昼間自宅にいると、そんなときに限って選挙運動真っ只中で騒音公害に悩まされたりする。
政策もビジョンも語らずにただ候補者の名前を連呼するウグイス嬢と言うにはとうの経った金切り声(すごいイジワルな表現だ)に、この週末から辟易していた。
散歩中すれ違う選挙カーに、露骨に顔をしかめて耳に指を突っ込んでみれば、
「騒がしくて申し訳ありません!若い人たちからもぜひ清き一票を!」
とかいけしゃーしゃーと叫ばれてみたり。
田舎町だからか、各戸を回る候補者に勝手に玄関を開けられてあいさつされたり(アメリカだったら銃殺されてるぞ)。
おかげですっかり選挙権を放棄したくなった。
もっと住民に優しい選挙戦は無いのか。
かとおもえば、今さっき九州では市長選真っ最中の現職市長が男に撃たれた。
アメリカでは銃の乱射事件が起きたばかりだ。
セキュリティチェックのない箱舟に乗っているみたいな気分だ。
危機感を取り戻そうと、サカナを食べてみる。子持ししゃも。生臭い。
こういうとき、本当は厚切りトーストなんかを食べたくなるのだが。私の人生における「突然食べたくなるもの」ダントツNo.1は厚切りトーストだ。とんこつラーメンとかタイカレーとかじゃなく。
一人暮らしだと、食パンを買わなくなる。食べきれないから。そして、朝家で食べる時間が無いから。通勤途中の喫茶店でモーニングメニューのトーストセットてのもアリだが、なんとなくアレなのでつい買った物をオフィスでPC立ち上げながらモグモグ。
でも、子供の頃から馴染んだ食べ物。ゆえに憧憬。
仕事にも私生活にも不満がなく、むしろ充実してさえいる今日この頃だ。
GWには博士論文の口述諮問を控えて遊べない恋人の代わりに、会社の後輩たちと信州旅行をする計画だってある。上司の信頼だって篤い。
適度に仕事を切り上げて帰れる日もあり、英会話のレッスンにもコンスタントに通っている。金曜の夜には同僚とスパニッシュバーでサングリアを空け、社内の情報交換や隣の二人連れの様子を伺って馬鹿笑いしたりする。
時々は、恋人が会社の近くまで迎えに来てくれたりもする。
寂しい思いはしない。
私は何を失った。