いちばんちいさくていちばんつよい

仕事中の雑談の折に、
 「私、子供の頃とかすごくちっちゃかったんだよね。」
といったら、
 「今でもちっちゃいよ!」
と多方向から突っ込みを受けてびっくりした。


普段は忘れているが、私は身長151cmとかなり小柄な部類に入る。ちなみにBMIも20以下なので相当小さい。次世代型のコンパクトボディだ。
その分志と態度は大きくわりと集団では一番えらそうにしているので自分自身まったく気にしていなかったのだが、そういえば大柄な男性社員に摘み上げられてみたりたかいたかいされてみたり体当たりされて弾き飛ばされてみたりと、コミュニケーションの一環として慣らされていたが考えてみれば小柄ゆえのかわいそうな目に遭っているじゃないか。なぜ気づかなかったんだオレ。
GW明けぐらいから自分保護活動でも始めよう。


さっさとGWに入った恋人はご機嫌で、今日は天気も良いことだからと温泉やら海やら山やらと、あちこちドライブに連れて行ってくれた。
標識を見て思いつきで行ってみた、加太という狭い岬の町。古い神社と迫る森が、江ノ島を思わせて懐かしい。鳥居前の古い土産物屋の食堂で、恋人は旬の鯵の刺身、私は焼き貝の定食を。名物の海苔や茎わかめを使った小鉢も煮物もきちんと美味しくて、私は久しぶりに食べた生鯵の味にちょっと感動してみたり。子供の頃から生魚は食べられないが、小田原で育ったため鯵のたたきだけは食べていた。魚オンチなので美味しいかどうかはわからないのだけれど、郷愁を誘う味だ。
食後、流し雛で有名な淡島神社に参り、納められた人形の数々を珍しく覗き込み、そこに宿るものを想ってみたりした。



社長が解任されて、一週間経つ。
会社は動いていくものだし、仕事は代わらず続いていく。業績もきっと、このまま回復していくのだろう。会社の形を、少しずつ変えながら。
恐れも不安も特にない。ただ、いないことが寂しいだけだ。
出張で来ることもないし、アポの合間の暇つぶしにおしゃべりの相手をすることもない。これからさまざまな社内行事でも、その姿はもうない。個人的なつながりは保てているが、私は私の仕事があの人に褒められることが何より嬉しかったのだ。
モチベーションは自分で保て。そう言われてきた。
明日は月末だ。忙しい締め日だ。