糸蜻蛉

KyrieEleison2008-05-18


ものすごく久しぶりに、電車で恋人の住む街に行く。二両しかないローカル線で、のんびり新緑の景色を眺めながら揺られて。
途中の停車駅で、綺麗な糸トンボが紛れ込んできた。都会から来た年配の客たちは珍しそうに、懐かしそうに、トンボを見ている。
飛び回っていたトンボが私の帽子に止まったのを小さな男の子が羨ましそうに見ていたので、捕まえてあげた。はじめて触った!って嬉しそう。きゃあきゃあ言いながらずっと眺めている。若いお母さんがトンボの体の仕組みを教えている。お父さんは休みの日に朝から出てきて少し眠たそう。
でも、幸せそう。


イェイツを読む。いつも鞄に入れている。
白い射干の咲く林の鬱蒼とした蔭の優しさと、ひやりと降りてくる空気に迎えられて、まるで浄土に還るようだ。


こうやって生き継ぐのです。