初夏の果実

KyrieEleison2008-05-19


月曜日が上司の誕生日なので、ケーキを焼いていこうと思い立った。簡単なパウンドケーキ。ちょうど出始めていたサマーオレンジのスライスをあしらって、生地にアールグレイの茶葉を混ぜ込んで。初夏らしい、爽やかな感じで。
が、どこに行ってもバターが売ってない。製菓用の無塩バターどころか、有塩も。数件のスーパーを回って諦めてマーガリンを買ったが、面白くないので冷蔵庫に残っていた無塩バターを集めてなんとか凌いだ。エシレとかカルピスとかの高いの奮発しちゃったよ。まぁお祝いだしね。
今日はおやつに、みんなでささやかなお祝いをした。
ひとつ歳を重ねて、より幸せに。


週末は、あまりに天気が良く新緑が美しかったので、恋人の思い付きで龍神温泉を経て白浜温泉まで。山と海の名湯巡り。
龍神温泉は不思議なとろみのある無色透明の湯。肌を綺麗にするという日本三大美人の湯。渓流を臨む露天風呂からは、滴るような緑。かじか蛙の澄んだ鳴き声が響く。
さして温度は高くないのに、ものすごく温まる。出たり入ったりを繰り返して、肌が滑らかになってきたところで次の目的地に。
ツーリングを楽しむライダーたちを先に行かせながら、のんびりドライブ。道の駅に寄ってはご当地名物を買ってみたり。
夕方、白浜温泉に到着。携帯サイトで予約したホテルにチェックインして、目の前の海に降りる。三段壁と呼ばれる、波打つような岩場と崖。去年訪れた、土佐の室戸を思い出す。太平洋の波頭に晒される、岬の海。この激しさが、私にとっての海だ。人の領域の限界線。

夕陽が海の沈む様を眺めてから繁華街に出て夕食を摂り、ホテルに戻ってずいぶん塩辛い温泉に入り、早々に寝た。
白浜は良いところだ。古き良き、昭和の温泉街。
翌朝は観光市場で朝食。マグロの解体ショーを見ながら、釜あげシラス丼を掻き込む。こういうところは、珍しい貝とか蟹とかがたくさんあって楽しい。市場は好きだ。
お土産を買って、来た道を戻る。海辺から、あっという間に山間に。蜜柑や藤のの花の甘い匂いが、窓を開け放った車内に満ちる。清流に反射する陽光。眠たげな山里。

恋人があれこれ話をするのを笑いながら聞く。時々、他愛もないゲームになったりもする。


ただただ幸せな週末。
こういう時間を過ごせるようになった。