丘の向こう

かねてから大荒れとなると予報されていた通り、冷たい風が吹きすさぶ一日。
夕方から空に立ち込めた暗雲の隙間から、金色の丸い月が覗いていて、まるで嵐を司る龍の眼のように見えた。そういえば、明日は満月。明後日は十六夜の名月になるはずなのだが。
こんな強い風の中、丘を挟んだ向こう側の高校から、部活動をしている生徒たちの掛け声が届く。風邪のうなりと相まって、なんだか地獄からの呻き声みたいだ。
どれもこれも、不吉な予兆のように見えてしまうのは、自分の状態が悪いからか。


珍しく風邪をひいて、金曜の晩からずっと寝込んでいる。
わりといつも不調なのだが、風邪をひくことは実は少ない。呼吸器系の不調はいつもアレルギーからくるものだし、そのほかは循環器系の持病から来るものだ。弱い自覚があるので、普段から気を抜かずに手洗いうがいに努めている。稀に風邪のような症状に見舞われた場合も、初期の段階で治してしまっているし、それでも酷くなるようならそれはインフルエンザだったりする。インフルエンザはもう、不可抗力だもんな!
しかし、今回はインフルエンザではなく風邪。喉がちぎれるような痛みから始まって、37〜38℃の間を行ったり来たりしている発熱と、それに伴う頭痛、そして鼻詰まり。それが三日間続けばインフルエンザじゃなくてもしんどいー。
あんなに気を使って暮らしているのになぁ。先月忙しすぎたしな。ひき始めが月末で休めなかったし。ちょっと無理すると、すぐにどこかを悪くする。弱い!


金曜日に病院でもらった薬も微妙にというか全然効かなくて、おかげでエライ週末を過ごす羽目になったのだが、これだけ頭がつかえないと脳みそがウニになる。時間があっても何もする気になれない。せっかく学会が終わった恋人と遊びに行こうと思ってたのに!
たまたま電話をしてきた父が、私が寝込んでいると知ると心配して何度も電話をかけてくるのだが、普段別にあなたの知らないところでインフルエンザとかもっと酷いことになっても一人で乗り切ってるんだから大丈夫だよ!つーか寝かせとけ!


今日も月初から休んでしまったが、明日も祝日なのでなんとか治してしまいたいものだ。
夕方別の病院に行ってもらった薬がなんとなく効いている気がする。熱も下がり始めている感じはあるので、あとは暖かくしてよく寝よう。


いやしかし、香港行きに重ならなくてよかったよ。
いまはそれだけが生きがいだからな!