Lament

あなたは知るだろうか

私がここにこうしているかぎり、あなたはなにもできない。そのことを、私は知っているのです。 本当は、戻るか死ぬかした方がいいのでしょう。けれど私は、自分からそれを選ぶことはしない。あなたから与えられるのを待っているのです。 決定的な要不要をつ…

致死量の幸福

それは、絶望を描いた絵みたいだった。画面の右側で、あの人は笑っていたんだ。知らない顔をして。 それだけで、充分だろう。

この声が届かない

外がひどい土砂降りで、音楽を止めて雨音を聴いてみた。 まるで、慟哭のような。 ただ押し黙るしかないような、この激しさはそういう音だ。

誰かの願いが叶うころ

悪意のない裏切りに遭ってしまうような、そういうツイていない日って言うのはやっぱりある。 そんな日ばかりじゃないってわかっていても堪えちゃう自分のひ弱さを、久しぶりに自覚する。

心に剣を持つモノ

かつて、私にとって他者とは災厄でしかなかった。中でも、私にに関心を持つ者とその感情は。 だが、自分と同様に悩み苦しみ、その発露として差し出されたものに、受け入れないまでも労る気になった。 なにものかに対峙する、その勇気や強さ、あるいは誇り高…

四月の底

世界が喜びの輝きに満ち溢れているとき、その強い光すら届かない深淵がある。 そこに横たわるもの。 その、静謐を想う。 別離の季節が訪れた。