Call My Name
濃い緑の中に、筆先を落としたような白い点。梢にとまる、純白の大きな水鳥だった。
その姿の孤高に、しばし見とれる。
週末から持病のアレルギー性喘息が出て、昨日は体調の悪いまま出勤したら強制送還され、今日は大事をとって午後から出勤するも、顔を見るなり心配する上司同僚に「や、昨日よりマシなんで。」というと「どこがや!」と全方向から突っ込まれた。
イヤ、ホントに昨日よりマシなんだけど…。
そうは言っても、呼吸器系の不調は閉め切った場所とエアコンに弱い。オフィスの空調のせいで、徐々に具合が悪くなる。熱があるわけではないのだから本人は至って元気なつもりだが、呼吸をするごとに咳が出る。マスクを装着し、浅い呼吸をする。
見かねた同僚が、哀れむような目で私を見つめる。
「もう息止めといたら?」
「それが生物に対していうことか!」
まいったなぁ。この時期は体調を崩しがちだけど、今回はここ数年で一番酷いかもしれない。
こんなふうに環境に適応できない自分に、時々途方に暮れる。
考えてみれば、学生の頃山間部のほとんど聖域とも言える清浄な場所に暮らしていた頃は、こんなふうにはならなかった。だから、この喘息ももう治ったものと思っていたのに。大阪に勤めだして、徐々にまた酷くなっている。
かといって、空気のきれいな土地で大人しく療養しながらサナトリウム文学の世界に生きるわけにはいかないんだよ!
週末からほとんどの時間を布団の中で過ごし、休みが開けても勤務時間は実質半分で、ほとんど人と口をきいていない。こうなると、時間の感覚がおかしくなる。
このままでは仕事が進まないし、金曜日は蜷川演出の『近代能楽集』を観に行くのだから、なんとしても治さなければ。