Act against you


 四年半お世話になった旧居を引き払った。
 入居の時くらいしか顔を合わせることの無かった大家さんに挨拶し、いくつかの手続きを完了する。

 掃除をしながら、本当は私はこの部屋があまり気に入っていなかったんだと思った。古いし電車がうるさいし日当たりはあまり良くないし使い勝手は悪いし。おまけに、ロフトのある部屋は天井が高すぎて、温度調節が極めて難しかった。
 この二ヶ月ほどは忙しさも手伝って、ほとんど生活を放棄したような暮らしぶりで、掃除をしながらこの汚れ方は丁寧に使った部屋ではないと思った。
 せめて最後はと、今日はがんばって綺麗にした。
 今の部屋は運命的な出会いの結果住んでいる。その縁に感謝し、大事に暮らそう。



 陽が落ちると、急激に冷え込む。
 キッチンで火を使っていれば暖かいし、お茶を飲んだり物を食べれば身体は温まる。そうやって、やはり特に暖房器具も使わずに過ごしている。

 買い物には、トートバッグを持っていくようにした。「袋は要りません」ていうのをやってみたかったのだ。なんかこう、大人の女っぽくてかっこいいじゃん。しかも、バッグに入る以上のものは買わなくなったので、節約効果もあり。
 必要な物を必要なだけ。余計なものを買う余地は無い。ゴミも減った。

 なんつーか、ちょっとしたエコライフだ。そうしてみると、いままで如何に過剰なものに囲まれて生活していたかと気づく。自分の中に、良い感じの流れが出来てきている。


 本日をもってようやく懸念の引越しが完了した。九月中旬から恋人が引越しをしていたので、延べ二ヶ月余り引越しに携わっていたことになるが、それも終わりだ。

 来週は久しぶりに、恋人と映画にでも行こうか。(炎のゴブレット!)