銃を櫂にして

 ずいぶん間を空けてしまった。
 この三ヶ月、私はといえば人と眼を合わせずに朗らかな日常を送る術を習得したり、夕焼けも見なかったり、ぐるぐる同じ場所を回ったり、かと思えば自棄酒と同じくらいの軽薄さで身投げできそうになっている。しないけど。

 要は、いつもの閉塞感。何年経っても、夏は不条理だ。

 今朝はクマを射殺する夢を見た。(マタギ…)
 何かを殺す夢を見たのは、たぶんはじめてだ。


 数年振りにジャケ買いしたCDが当たりで、少し救われる。
 秋の夜長に相応しい、残酷なノスタルジィ。


 私の生涯に流れ続けると疑わなかった音楽が、いつの間にか止んでいる。
 間隙を埋めるのは、人の世の音。絶望とか無力とか無関心とか、日常レベルの思い遣りとか想像力とか、そういうもの。遠い水音には、気づかない。

 恋物語以外のファンタジーが、この世界にはもっと必要なんじゃないのかな。




 ところで、今まで気づかなかったのだが、どうやら私は城好きらしい。
 旅行に行けば、その土地のお城に必ず行っている。故郷の小田原城から始まり、上田城とか松江城とか、結構玄人好みの城まで。
 今まで制覇した城をマークしていけば、結構充実した城マップが出来るんじゃないだろうか。なんだオレは武器商人か。
 まぁ、歴史小説とか時代劇とか好きだしな。日本人の嗜みとして司馬遼太郎ははずせないと思って生きてきたし。最近のお城は展示物が充実して、意外と楽しめるのが凄いし。
 今度は恋人と高知城に行く予定だ。その次は彦根城いこっと。『功名が辻』つながりで。んで、ひこにゃんに会うんだ。


 なんだか、仕事しか出来てないな。
 ちゃんと、旅をしなきゃ。
 ひとりで。