天后の指先

電車で乗り合わせた奥さんたちがあちこちのご長寿の噂話。
103歳まで生きた近所のおばあちゃんはご飯食べてる最中顔を上げないから居眠りかと思ったら死んでたんやて羨ましいわぁそんなふうに死にたいわぁとか、あそこのおじいちゃんはさすがの100歳で気が練れてはるで丸ぅいお人やわぁとか、好意的な話で安心して聞いていられる。
そういえば、この路線で聞く話は、良くできた嫁がいつも孫を連れて来てくれるとか、足を痛めたら息子夫婦があちこち温泉に連れて行ってくれるとか、ちょっと困ったちゃんの話もあの子は両親が不倫の末離婚してるから愛情とか信じられへんのかもしれんなぁとか思いやりに満ちたいい話ばかりなのだが、ここはどこですか。ミドルアースとかティル・ナノーグとかの異世界か?なんでみんなそんなに人間出来てるの?本当は妖精なのか?
…信心深い古い土地だからかな。だとしたら日本人は江戸時代まで戻った方がいい。


気がつけば6月になっていて、しかも梅雨入りしていて、今年は調子が良いと油断していたら、突発性難聴になった。飛行機に乗っている時みたいに音がこもるし低音域がよく聴こえない。もー。
幸い初期なので薬ですぐ完治するらしいのだが、最近その低音型の突発性難聴若い人たちに増えているらしいのでみんなも気をつけるように。といっても原因は分からないらしいので、とにかく違和感を感じたりすぐ耳鼻科に行きましょう。初期ならすぐ治るけど、放置すると本当に聴こえなくなるかもしれないから。
とはいえ、私の場合元々物凄く耳が良く医者にしばしば驚かれるくらいで、今回も聴こえる音域は凄く良く聴こえているのに聴こえない音域は人並みなので相対的に聴力が落ちているということだろうという程度なのだが、だとしたら皆は普段こんなに音の少ない世界に生きているのか。そっちの方が驚きだ。
道理で皆が私の挙動を不審がるはずだ。皆に聴こえない音にたぶん私は反応している。
しかし、低い音が減ると随分世界がクリアになるな。ステレオの低音をカットした状態に良く似ている。
なんだか頭の中も軽いかんじで、これならこれで良いんだけど。