@ヘイヴン

楓の釘隠し

通勤電車に乗り合わせた、会社の受付とかアシスタントとかやってそうな清楚な感じのお嬢さんが、小鳥の刺繍されたブックカバーをした小説を熱心に読んでいた。女性作家の恋愛小説とかかなーとか思って見るとはなしに眺めていたら、ページをめくった瞬間に見えちゃったよ北方謙三三国志…!
「二万の軍勢に囲まれて」とか書いてあったよ。そんな小花柄のしおりとか挟んでるくせに漢(おとこ)だな!しかも歴史小説家の三国志って暑苦しいよね!


それともあれかな、金城武ファンがレッドクリフ読んでたのかなー。


さて6月です。
猫も杓子も不況だな!ボーナスのフィードバックがあるんだけど、出るだけましかな!


先のことを考えるとくさくさするので、とりあえず今を楽しむだけの今日この頃。週末は恋人と京都は栂尾高山寺に行って参りましたよ。二時間半の小旅行。
いや、明恵上人にはこれといって思い入れがないんだけど、鳥獣戯画が。実物は国立博物館にあるからレプリカが展示してあるだけなんだけど、グッズも売っているのだよ。手ぬぐいとトートバッグ買っちゃった。
何よりあの生き生きとユーモラスな描写。
高山寺という寺は、本当に山寺と呼ぶに相応しい、こじんまりしたもので、明恵が過ごしたという石水院も庵というくらいの広さしかない。ただ、目の前を覆うような椛や鳥や蛙の声を楽しむ場所だ。
そこで暮らす小さないきものたちを、愛で慈しむ眼差しをあの絵から読み取れる。どんな顔をして描いたのだろうと、想像すると可笑しくなる。
日当たりの良い座敷には、運慶作の子犬の木像がちょこんと座っていた。昔は多かったであろう大型の日本犬特有の、太い前足と垂れた三角の耳。ぬいぐるみみたいな体躯で愛くるしく小首を傾げている。

人里を離れ、小さな命を愛おしむ人が暮らした気配を、静かに感じた。古い土地を訪れて、こういう古人の感性に触れる瞬間は愉快だ。
見知らぬ夫婦が、それをなぞるように肩を並べていた。



京都は桜も終わった今はオフシーズンだから、新緑の爽やかさをゆっくり楽しめる。久しぶりに街を歩いたら、ずいぶんいろんな店が増えていて小洒落たなぁ。なかなか楽しいぞ。
奈良も飽きてきたし、今度は京都を開拓してみよう。