てのひらに

KyrieEleison2009-09-10



揚羽蝶が、目の前をようやくといった風情で飛んで行った。夏を過ごして、傷ついた翅。もう、高くは飛べないのだろう。これからは、あらゆる生命が終息に向かう季節だ。


微熱が続くので、今日は休むことにした。朝、会社に電話したら、上司から「こんな時期やし念のために病院に行っときや」といわれたので、近所の医院に。検査の結果インフルエンザではなかったが、弱っているときには感染しやすいから、良く食べてよく寝て体力をつけるようにといわれた。
最近少し貧血気味だし、きちんと食べねば。


帰りにスーパーで小松菜とかレバーとか、鉄分多そうなものを買ってきた。明日のお弁当に使おう。
しかし、なんで鉄分の豊富そうな食材って、苦いかね。苦いの嫌いなんだけど(コドモか)。


11月の香港旅行気分を盛り上げるため、ウォン・カーウァイの香港映画を借りていたことを思い出して、観るとはなしに観る。
香港の、極彩の陰影が好きだ。赤を基調に流れる、禁欲と退廃。モノクロ写真を見て、そこに本来映し出されるべきだった天然の色彩を想うように、前世紀の香港を想像する。
建ち並ぶ無機質な高層ビル群の中に、有機的な生命力を感じさせる。近代的な街並みの裏に、前時代的な猥雑さを隠し持つ。たぶん、ひとのいのちや営みは、薄暗さの中に息衝くものだ。



平凡さとか、変わらない穏やかさなんて、成立するのだろうか。
ひとは息詰まると、決壊する。そして、そこから新しいものが生まれる。それがおそらく、進化だ。たぶん、いまはそういう時期。

まぁ、ときどき息抜きは必要だ。