月光降る夜

KyrieEleison2009-12-02



朝五時過ぎに携帯が鳴ったので、どきっとしてディスプレイを開くと、
「クリスマスマーケット巡りをしていますv」
と、ドイツから時差を考えないのんきなメールが。父からである。
ザケンナー


私が香港から帰ってきたのと入れ違いくらいで、両親はドイツに旅立った。以前父が出張でこの時期のドイツを訪れて、クリスマスマーケットをぜひ母に見せたいと思ったそうだ。それが、このたび実現したという話。
だが。
役員が月末月初挟んで妻と一週間も海外旅行って、おたくの会社はどうなっているの?うちの会社、月末月初は地獄の釜の蓋が開く感じなんだけど。
メーカーってなんかやっぱり余裕があるよなー。あのオッサン(父)、平日ゴルフとか「これも仕事の内ー」とか言ってるし。うちなんて、今日自社株がストップ安になったっちゅーの。
次生まれ変わったら、大きくなくてもいい、地味でもいい、ニッチでもいいから、製品が国外でも高いシェアを持っていて、ドレスコードなくてかつ福利厚生の充実したメーカーに勤めたい。


さて、クリスマスといえば思い出すのが、三歳のクリスマス。
サンタさんがくれたのは子供用の一番小さなバイオリン。
包みから現れた黒いケースを開いて目にしたピカピカの楽器に、
ハメられた!と思ったね。
どう考えても両親の、というか主に母親の思惑が濃厚に染み込んだ一品だった。
私のところに来たサンタさんはいつも、私の欲しいものをくれたことはなかった。母親の言うことばっかり聞くサンタさんだった。
案の定、バイオリンの稽古は嫌で嫌で仕方なかったが、何人かの先生は音楽を好きになる方法を上手に教えてくれた。結局バイオリンは全然上達しなかったし、メリットといえば合唱の際に絶対に他の音につられない音感くらいだが、交響曲のような音の塊がどんな旋律で成り立っているのかとか、音楽とか音それ自体を楽しむポジションにいることができたように思う。
まぁだからといって、当時の両親の横暴さを素直に肯定する気にはならないのだが。


そういえば、冬になるとクリスマスのせいか音楽に触れる機会が増えるな。
月末には、また知人からチケットを貰ったコンサートがある。年末なので、ベートーベンの第九。


こんな苦境の中でも、音楽はしばしの夢を見せてくれる。
そうやって乗り切るのだ。