夕焼け通り

KyrieEleison2010-01-17



一月になると、突然春の気配がしだすのが毎年の不思議だ。


実際の季節であるところの旧暦ではまだ旧年の内なのだから、これは年が明けたという気分によるものなのか。確かに、テレビでも街のディスプレイでも途端に春めいてくる。そういう人為的なものなのかとも思うが、やはり夕方の空気の色味とか、夜気に紛れる蝋梅の匂いとか、そういうものは確実に春の先駆けとして五感を刺激する。そうなるともういてもたってもいられなくなって、かといってなにをしたらいいのかわからないけれど、とにかく何かをしたくなる。
とりあえず、自転車を購入してみた。数年前に駅の駐輪場で捕られて以来、自転車のない生活をしていた。チャコールグレイの変速ギア付き。うちは坂の上にあるので、ギアがないと自転車では辛かったのだ。これなら、平日の夜に早く帰れたら、ジムに通うこともできる。
そう、春の兆しを見つけると、なんとなくアクティブになるのだ。


夕方散歩をしていると、薄闇の向こうから白い犬が一目散に駆けてきてぎょっとした。一瞬襲われるかと思ったが、どこかの飼い犬が鎖を外して逃げ出してきたようだった。物凄い勢いで私に飛びついて、興奮して跳ね飛んで、そのままあちらこちらに田んぼの畦道を縦横無尽に駆け回り、やがて気が済んだのか勝手にいつもの散歩道らしきコースを一人で辿って、家に帰って行ったようだ。
ほんの数分の出来事だったが、犬本来の爆発的なエネルギーというか生命力というか、一日中鎖につながれて人に従順に大人しく暮らしているけど、本当はあんなに速く走るんだなぁ、と奇妙に感心した。


あの犬も、春でいてもたってもいられなくなったのかな。
そういう、空の色だった。


実家から送られてきたリンゴが食べきれなかったので、コンポートにしてみた。しばらくはヨーグルトとかアイスクリームとかに添えて楽しめる。
こういうのも、春の兆しでやってみたくなることの一つ。
まぁ、新しいことならなんでもいいんだけどねー。