Moment

真実の庭

咲きこぼれる萩の花だとか、夜の林に深く染み透る秋の気配だとか、信州で見たそういうものたちを都会の中で想い返す。あの透徹に比ぶべきもないけれど。

Crossing Water

空にかかる九夜月が、奇妙に明るく見える。 月の光が冴えると、気の早いことに、秋の気配の欠片のようなものを捉えてしまう。 夏はまだこれからなのに。 夜の水面と、光を落とす月と、風と、音。 夏の夜を構成するのは、そういう静かなものたち。 永らく失わ…

石の波紋 木の波紋

雨上がりの夜は、木の匂いがする。 この街のそういうところが好きだ。

積み木くずし

意外といろいろたくさんというか変わった経験をしている方だと思うのだが、経験値が低いというか、経験の量や質が実生活や人格にあまり反映されていない。 まぁつまり、ナチュラルボーンに無神経だということだ。 そして、自分が無神経であることを自覚して…

命のための音楽

(自分の音楽を聞いて)命を特別なものと感じてもらえれば、私は幸せです。 ジャン・ワン(チェリスト)

花腐

高温多湿の風が吹き荒れ、オフィス前で新装開店した料理屋では、せっかくの花輪がすっかり萎えて色褪せていた。 あれはあれで、時間を進める作用だな。これが冷気なら、時間の進度は緩やかになる。

地に満ちて地を統べよ

うちのオフィスでは、わりといつも妊婦さんがいる。 現在の妊婦さんは私のひとつ上で、今回が二人目だ。5カ月の日に日に大きくなるお腹で、毎日通勤している。「性別もうわかった?」 「まだなのよ。早く教え欲しいんだけどこの子ったらもったいぶっちゃっ…

夏至南風

高温多湿が日本の夏至。 しかも会社の付き合いで飲み会。 せめて心の中ではあの透明な夜の光を。

音楽連鎖

キュートでエキセントリックなおしっこちゃんhttp://blog.so-net.ne.jp/osikko/よりmusical batonなるものが。 ●Total volume of music files on my computer (コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) 約9G。2000曲程度。 ●Song playing right now (今聞…

キミは天使

ここ数日、VAN HALENの初期のPVを立て続けに観ているのだが、なんだあのエディのカワイさは!まぁ彼はギターの天使だから仕方ないのだが。 二十代のエディは童顔!華奢!そしてあのちょっと白痴っぽいとろけるような笑顔! 野獣リー・ロスも霞むね。 いやー…

膨張する大気

ようやく陽のあるうちにオフィスから出られるようになった。 雨の気配はあるものの、気温は高いまま。こんな日は、街に海の匂いが届く。

雨上がりの朝

冷たく濡れた大気と、木の匂い花の匂い。 雨に洗われた世界には、こんなにも多くの気配が息づいていることに気づく。

眩しかったから

朝から変に光が強い日。 陽射しが、と言うほどその光には温もりもなく、ただ眩しい。 目を開けていられなくて、思わず俯く。 可視化された絶対善とはこういうものだろうか。 なんて。

BLOOMING ROAD

定期通院の為に、午前休を取る。いつもより二時間遅く家を出て、近所の病院へ。自転車でゆっくり通りを抜けると、様々な花の気配がかすめる。 蜜柑の白く小さな花から漂う、すっきりと甘い香り。藤やスイカズラの、白金の蜜を思わせるトロリとした匂い。桃源…

鳥は神に向かって飛ぶ

このところ、夜明けと同時に目が覚めるという変な癖がついている。この時季は、毎年そうだ。仕方なく起き出して、いつもの習慣で窓を開ける。 黄道光が空を貫き、朝が来る。その光は、夜の残す最後の声のようだ。 朝はいつも残酷で、夜は優しい。 これが、私…

遠くに射す光

ものすごく久しぶりに、明るいうちに家に帰り着いた。 斜陽の中で見る山々は霞がかかったように白く煙ぶっていて、それはまだやわらかい木々の葉の、芽吹きの色だった。 たんぽぽや山吹やれんげ草が咲いたなんて、気がつかなかった。 世界がこんなに色に満ち…

花落ち

目の前に、真っ赤な椿の花がストンと落ちてきた。確かに、ぎょっとするような潔さだ。武家が嫌がるのもわかる。駅の階段から、山手の公園の桜に見とれて、男子高校生が足を踏み外していた。 あの、思春期の複雑な感性で、彼は何を見たのだろう。

陸のもの 空のもの

サクラのトンネルをくぐった。 ツバメをみつけた。 雨が降って、でも暖かかった。

緋牡丹

印伝の小銭入れを買った。オフィス近くの百貨店で目に入ったものだ。 前々から欲しいと思っていたが、なんとなく手が出なかった。 ふと目に入って改めて欲しいなーと思い、給料日だし買っちゃえ!と勢いで買ってしまった。「大事に使ってな」店員のおばちゃ…

Our Farewell

長年連れ添った同僚(というかもはや相棒)が、あと一週間で辞める。 誰かが辞めるとき、社内イラストレーターの私がいつも色紙に小さな絵を描くのが慣例みたいになっていて、今回ももちろん用意したのだが、コイツのときはとくに丁寧に描こうと思っていたの…