どうせ明日はある

永遠の姿を此に見む

たくさんの偶然が重なるから「奇跡」って云うんだ。 そんなふうに思うことがある。 三連休を利用して、生まれ育った街を訪れた。 幼少時に数年の空白はあるものの、思春期の、あの特別な時間を過ごしたのはこの土地だ。 ここで私は多くの友を得、自分の世界…

花より団子

外に出ると、盛大な風花が舞っていた。 不思議なもので、断続的に雪が降るくせに積もるほどでもなく、そもそも雪が降るわりには肌に触れる空気に然程冷たさを感じない。この程度の風で、よく雪になるものだ。 昨日はうっかり一日引き篭もってしまい、何度か…

The Longest Spring

部門史上最高額の決算賞与を受給するも、種々の控除を経て手元に残った金額に愕然とする。 何でこんなに税金高いんだよ!うわーん。 思わず、各国の税制度と国民の満足度を調査した白書なんかを読む。 この環境でこの税率は、とても妥当とは思えない。日本の…

その肌が知らない痛覚

押し黙るしかないような、そういう、沈黙から生まれる音楽がある。 傷口からゆっくりと流れ出る血液のように、重く鈍く、そして奇妙に潔癖な音だ。 何度も何度も繰り返して聴いたそれは、私もまたかつて流したはずの血液となって、私の中に還る。 そうやって…

冷気の色素

実家の母から電話があった。 月に一度くらいは、元気かと連絡をくれる。そちらはどうかと聞けば、連日大雪だと笑っていた。 実家の、雪景色の茶庭が好きだ。 冬に帰省すると、炉で温めた茶室のにじり口を開けて、静かに庭に舞い降りる北陸独特の牡丹雪を眺め…

成層の断面

所用のついでにオフィスの外に出たら、微かに花の匂いがした。 こんな街のまんなかで花なんて咲いているはずがないのに、春になるとどこからか花の匂いがする。 これは、木に咲く花の匂いだ。草に咲く花とは違う。 どこかのオフィスビルにあるルーフガーデン…